腎臓疾患は、犬によく見られる病気です。若い犬に見られる場合もありますが、その多くは高齢の犬に見られます。愛犬のためにも、この疾患のことをきちんと知りましょう。
腎臓の役割とは
食物からの栄養をつかって体がエネルギーを作る時、かならずゴミがでます。血液はこれらの老廃物を水やミネラルと同じように含み、尿で排出するために腎臓に運びます。
腎臓の大切な役割として、血液中の余分なリンを取り除くことがあります。血液はネフロンと呼ばれる細い管を通して流れ込み、そこでは水分やまだ使える栄養素が再度吸収され血流に戻っていきます。尿が作られ、犬が尿管を通して排泄するまで膀胱に貯められます。
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犬が食餌から摂取したタンパク質は、成長や古くなった細胞の交換、身体機能の調整に使用されるアミノ酸に分解されます。そう、体はタンパク質のブロックで作られているのです。2アミノ酸には20種類あり、それぞれが体内でホルモンやきん組織、細胞壁などに変えられて行きます。余ったアミノ酸は尿素にかわり、老廃物として腎臓によって尿として排泄されます。
腎臓はまた、体内の水分代謝のバランスを整えるという重大な役割を持っています。これは腎細管を通して再吸収される水分量を調整することで行われます。
慢性的な腎疾患とは?
腎臓が老廃物を効率的に取り除くなった場合、それらの老廃物は血液中に蓄積し、食欲不振や体重減少、喉の乾きや嘔吐といった、腎疾患の兆候の原因となります。また十分な量の水分を腎臓で再吸収できなくなるため、尿を作ることができなくなっていきます。これにより、脱水症状や薄い尿が作られます。そのため、犬は夜の間など普段より頻繁に排尿する必要が出てきます。
病院で血液検査をした場合、毛中の老廃物の量、特に尿素の割合を見ることになります。
これらの症状が急に現れた場合でも、“慢性腎疾患”と呼ばれるには理由があります。腎細管の機能が失われるのには時間がかかり、症状が出るレベルになるまでゆっくりと老廃物が蓄積されていくためです。
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そのためあなたが気づいていなくても、上記のような症状が出るころには、愛犬の腎細管の2/3はダメージをうけています。
慢性腎疾患を持つ犬の食餌管理
失われた腎細管の機能を修復することはできませんが、愛犬に正しい食餌を与えることで残された機能が効率的に働く助けをすることはできます。
正しい食生活によって血液中に老廃物がたまることを防ぐことで、症状が出るのを抑え、また病気の進行を遅くする助けになります。
通常よりタンパク質量の少ない食餌を与えることで、尿素のような不要な老廃物の生成を減らすことができます。ただし、代謝や身体機能を保つために必要な量はしっかり与えましょう。
また、食餌中のリンの量も減らしましょう。病院には、低リン配合の特別食などもあります。腎臓が血中のリンを取り除けない場合、いくつかの化学的行程によって、更に腎機能が失われることにつながります。
腎疾患を患う犬は食欲不振になりやすいため、適正体重を保つのに十分な量の食餌を摂る必要があります。体重の減少、特に筋組織の減少は、腎臓に更なる負担をかけます。理想的な食餌は、濃縮され高カロリーかつ低タンパク、低尿素のものです。
慢性腎疾患を持つ犬野お世話をするために
他にもいくつか、あなたの愛犬を助ける方法があります。
・薬を処方されている場合、決められた量をきちんと守り与えましょう。
・低リンの食餌療法を勧められた場合、指示に従い、余分なおやつなどは与えないようにします。
・食餌は1度に沢山の量ではなく、少量を何度かにわけて与えるようにしましょう。
・いつも新鮮な食餌を与えてください。
・清潔で新鮮な水を、いつでも飲めるようにしておきましょう。
・慢性腎疾患を患う犬は、時には食餌を摂りたがりません。体温より少し低い程度に温めたり、最初の一口を手で与えるなど、愛犬が食餌の興味を持つように工夫してみましょう。
腎疾患はとても深刻な病気です。愛犬にこれらの症状が見られる時は、できるだけ早くかかりつけの獣医師の診断を仰いでください。
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